ベストパートナーその変遷

それはちょうど十年前、私は彼と出会った。
他にもいくつかの誘いがあったけれど私は彼を選び、すぐに同居を始めた。
決してオシャレでもなくスマートでもなく、どちらかというと無骨で素朴な彼は、とても真面目な性格だった。
その日から私は彼と二人で実にたくさんのことを学んだ。
何もかもが初めてで、無茶をしがちな私に辛抱強く耐え、一緒に一歩ずつ歩んでくれた彼。
私はどんどん知識を吸収し、彼とならどんなことでもできる、彼とずーっとこうして生きて行きたいと思っていた。
アクセサリーを買ったり、必要と思われるものを吟味して買い足し、二人はますます充実したときを過ごしていた。
ときおり小さなトラブルでイライラしたりしたけれど、新しい世界を知った私は有頂天だった。
そして、こうして毎日一緒に過ごすうちに、いつの間にか5年の月日が経っていた。
ふと気づくと、私は彼に対して何だか物足りなさを感じはじめていた。
確かに信頼できるし真面目でよく働くし、これと言って欠点はない。
でもなんだかダサい感じ、流行遅れで古臭い雰囲気が鼻についてきたのだ。
そしてとうとう五年目の春、私は彼に別れを告げた・・・。
彼は黙ってそれを受け入れてくれた。
どこも欠点なんてないのに・・・嫌いなわけじゃないのに・・・本当にゴメンナサイ。
でも私はもうあなたでは満足できないの、そう心の中で謝った。
決してあなたのことは忘れない、私の最初の・・・。


次の彼はすぐにやってきた。
見た目も前の彼よりスマートで、最新流行の彼は私と毎日一緒だった。
何の不安もストレスもなく、彼と過ごす時間は楽しくて楽しくてしかたなかった。
ところが一年たった頃、彼はなんと体調を崩してしまった。
どうも最近ちょっと調子が悪いみたい、と私が思っていた矢先だった。
彼はとうとう入院した。
それは今すぐに命にかかわる致命的な病ではなかったけれど、放っておけば確実に全身麻痺に陥る病だった。
そうなったら私は生きていけない、なんとかして助かって。
入院の手続きなどすべて私が手配し、じっと祈りつつ待つしかなかった。
そしてその願いが通じ、彼は約10日間の入院で戻ってきてくれた。
彼のいない間、私は不安と寂しさにくれていたので、彼が元気な姿で帰ってきてくれた時は本当に嬉しかった。
彼とはその後も毎日何時間かは一緒に過ごし、今でも仲良く暮らしている。
ときどき彼が私の言うことを無視したり、私が他にちょっとした浮気をするけれど、やっぱりベストパートナーだ。
ただ・・・・このごろまた私の悪い癖が出てきそうなのである。
そう・・・彼に・・・飽きてきている自分に気づく。
同じ屋根の下にもう一人、もっとカッコ良くて便利に使える彼がやってきたのは約一年前。
その彼のほうが好きなわけじゃないけれど、やっぱり新しい彼には心が惹かれる。
たぶんもうじき、私のパートナーは変わるだろう。
もうまた5年が経っている・・・・・。
そろそろ潮時・・・・。


◆◆◆最初の彼は、今は亡きIBMのデスクトップパソコンAptiva。あー超懐かしい。現在の彼はNECのデスクトップ、OSがXPなのでこれももう買い換えたいです。途中でDELL(XP)をちょっと使ってた時期があるし、東芝のノートパソコン(VISTA)も買い換えたばっかりだけど。◆◆◆