最近の読書事情

恒例の感想文ですが、今回は地震でフィットネスクラブが休みだったりして読書時間が増えてます。
あいかわらず乱読ですが。
25日は『テルマエ ロマエ』が出るんで楽しみです。





カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

    

こういう「ぼく」の一人称で、草食系っぽい男子がふにゃふにゃ言ってるような小説はあんまり読まないんだけど。
なんか食わず嫌いだったかなーと思いました。
ふと手に取って読んでみたら、案外気持ち良かった。
一度死んで魂になった「ぼく」はあの世の入り口で人生のリベンジを言い渡される。
来世でもう一度生まれ変わりたいなら「前世での罪を思い出せ」と。
断ることはできないシステムってことで、「ぼく」は自殺して今まさに息を引き取った「真くん」の身体に滑りこむ。
そこから始まる「真」としての人生。
結末は、おぼろげながら予想できたけど、それ以上に心癒されました。
こういう、行間が広いまったりした青春小説もたまにはいいなあ。




愛犬リッキーと親バカな飼主の物語 (講談社文庫)

愛犬リッキーと親バカな飼主の物語 (講談社文庫)

作家藤堂志津子さんと愛犬リッキーの日常。
いやー、この作家のイメージが大きく変わりましたわ。
こんなトリッキーなおばちゃんだったとは!
やんちゃでアホなリッキーくんは偉大な存在です。




サイレントリー (新潮文庫)

サイレントリー (新潮文庫)

あの「らせん」「リング」鈴木光司だよね?
私が夜中にトイレに起きるのが怖くなったあの小説を書いたのよね。

心洗われるような、胸がいっぱいになるような、静かな物語をありがとう。
そんなふうに思える珠玉の短編集です。
中でも、10歳で病死した妹の一生を、CGを駆使して映像にした兄の物語には涙を禁じえなかった。

ただ、クレームをつけるとしたら鈴木さんの女性に対する理想というか信仰心が、あまりにも高いというか(笑)
女ってもっと怖いですよ、まじで。




死にゆく者の微笑―イヴ&ローク〈4〉 (ヴィレッジブックス)

死にゆく者の微笑―イヴ&ローク〈4〉 (ヴィレッジブックス)

初めて読んだシリーズで、著者はロマンス小説の人気作家でもあるそう。
なので、サスペンスなのにエロい描写がところどころ(笑)
連続して起こる自殺、しかも自殺者は必ず微笑んでいるという謎を解く。
NYの美人警部補イヴとその夫で大富豪のロークのコンビが主人公なんだけど、これって近未来小説って途中まで気付かなかった。
しかもかなり早い段階で犯人の目星がつくのは著者の意図したところなのかな。
それでも最後まで飽きずに読めて、娯楽小説としてはオススメ。




怪笑小説 (集英社文庫)

怪笑小説 (集英社文庫)

あの東野圭吾がこういうの書くんだー。
と驚いたのが、この短編集。
まああの東野さんだから面白くないわけがない。
長編のあの独特な人間の弱さ、そして強さの描きかたが好きだけれど、短編はもっと洒脱というかコミカルな感じが前面に押し出されてます。
とても気軽に読める、こんなのもいいわー。
特に最初の『鬱積電車』なんて、オチが秀逸。
『おっかけバアさん』に至っては、とても人ごととは思えません(ジャニヲタとして)。
どれもこれも痛快そのもの。
東野さんの新境地を初めて知りました。




水の眠り 灰の夢 (文春文庫)

水の眠り 灰の夢 (文春文庫)

前回ご紹介した『DARK』の、あのミロの生い立ちがここにあるとは!
トップ屋と呼ばれる週刊誌記者の生き様、スリリングで謎に満ちた展開。
ただ、設定が昭和38年ということで、さすがに現代では成立しない箇所もいくつか。
重く苦しい小説だけど、読後には何とも言いがたい希望の光が見えました。




消えたニック・スペンサー (新潮文庫)

消えたニック・スペンサー (新潮文庫)

学生の頃に夢中になって読んだ『子供たちはどこにいる』『揺りかごが落ちる』のクラーク作品。
やっぱり面白い!
登場人物が丁寧に生き生きと描かれていて、脳内で勝手に三次元で動きそうなほど。
ちょっぴりネタバレだけど、ラストの結末は私的には残念…。





その他

・白くまカフェ   パンダママがアイドル『ヤマアラシ』に夢中になるくだりが(笑)
・七つの棺   折原一の初期作品集。私的には鉄板。
・マンハッタン魔の北壁   ハラハラドキドキのページがほとんどで疲れたー。
・スキップ   こういう理屈っぽい生意気な女子高生は苦手。途中でギブ、という情けない結果に。